資料(vol7) | 下がり壁 下地の構成
下がり壁の下地構成をご紹介します。
1.下がり壁(下がり天井)とは
2重天井(吊り天井)を形成する際、梁などとの干渉を避けるために躯体から逃げたり、造作として室内の中央部の天井を周囲よりも高くしたり、間接照明を設けるために段差を設けたりと、同一天井内にレベル差を設ける場合があります。この高さの異なる天井を繋ぐ鉛直面を下がり壁と呼び、下がった天井を下がり天井と呼びます。
軽量鉄骨を用いた下がり壁下地の仕様としては、標準詳細図に記載されているように天井下地で形成する場合と、間仕切壁下地(スタッド,ランナー)で形成する場合があります。
ここでは、天井下地を用いた仕様についてご紹介します。
2.下がり壁下地の構成例
在来天井には、野縁受け方向と野縁方向という2つの方向があり、下がり壁下地も組み方が異なります。
なお、標準詳細図をはじめとした一般的な図では、部材の接合方法が「溶接」となっていますが、ここでは4x13ビスでの固定(1~3本)としています。ビスでの固定方法については、特に定めがないため、監理者と事前にご協議下さい。
下がり壁下地の共通事項は以下の通りです。
・斜め補強は、@2700程度に入れる
・斜め補強材は、野縁受けと同材、又はL-30x30x3を使用する
(ここでは、野縁受けと同材(CC-19)を使用)
・上下の天井を吊るす吊りボルトは、壁用野縁受けから150mm以内に設ける
・野縁受け方向
ここでは、標準詳細図に描かれているタイプ(A)と当社製品を使ったタイプ(B)、斜めタイプ(C)、梁囲いタイプ(D)の4種類をご紹介します。
野縁受け方向全体 |
・タイプA
標準詳細図では、出隅部に見切縁用下地として角パイプ(□-19x19x1.6t)を取り付けています。
角パイプは、端部の仕上がりに影響するため、天井及び壁の野縁受けは、精度が求められます。また、無溶接固定の場合はビスを使用しますが、リップ部分(内法10.8mm)に打設するため、施工がしにくい作業となります。
全体 | 下部 |
・タイプB
出隅部に【下がり壁継手(90°)】を使用した場合です。下がり壁継手(90°)は、角部においてW野縁を直交固定できるため、Aの角パイプが不要になります。また、ボード固定用の野縁を留めるクリップも不要になるため、Aに比べて部品数が少なくすみ、すっきりします。(※当金具は、CC-25には使用できません。)
下がり壁継手(90°)には、ルーズホールが両端に設けてあるため、仮止め後の微妙な位置調整が可能です。
全体 | 下部 |
・タイプC:斜め下がり壁
下がり壁を斜めにした場合です。斜めは、標準詳細図に掲載はありません。掲載している写真の内容はあくまでも例であり、標準的なものではありません。
個々の仕様は、特記などをご確認・監理者と事前にご協議のうえでご判断下さい。
ここでは、出隅部に当社の『下がり壁継手(フリー)』を使用しています。
金具に角度が刻印されてるため、角度の調整が行いやすくなっています。Wバーが金具に直接固定できるようになっています。(※当金具は、CC-25には使用できません。)
直角の下がり壁同様、補強材(縦材)を追加しています。上側天井の野縁受けを伸ばし、そこに補強材を固定しています。
※仕上げ面の出隅部分の納め方については、別途ご検討ください。
上部 | 下部側 |
・タイプD:梁囲い
梁囲いの方法として、参考例をご紹介します。当社の金具を使用した場合です。
個々の強度、吊りボルト跳ね出し距離など、事前にご確認ください。
- クロスクリップ
- 下がり壁継手(90°)
- 極短ハンガー
- 耐風圧クリップ(鉛直ビス止)
梁囲い例 |
・野縁方向
野縁方向全体 |
ここでは、
天井の追加野縁受けの固定に、Gサポートを使用し、
壁の野縁受けの固定には、事前に仮組みできるクロスクリップを使用しています。
また、見切り取付用の部材として、□-19x19x1.6tをビスで固定しています。
下部 | 上部 |
3.まとめ
天井下地で組む下がり壁の構成を方向別にご紹介しました。ここでご紹介した内容は、あくまでも一例になります。
地震時に下がり壁の接合部分が壊れる被害が報告されています。標準詳細図では、斜め補強を@2700程度と記載してありますが、@900にして壁部の剛性を高めるなど、十分な対策が必要です。
特定天井に該当する場合には、上下の天井の縁を切り、一定のクリアランスを設ける必要があります。
上記に示した製品に興味がありましたら、当社の製品情報・デジタルカタログをご覧ください。
参考図書:1)建築工事標準詳細図,国土交通省
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2020年11月20日時点の情報です。
2021年2月26日追記。